「樹と小鳥の物語」
今日は、とってもうれしいことがありました。アンちゃんが学校からお友達と帰ってきました。お友達と遊ぶのが大好きなのに、なかなかフツーに話せないアンちゃんが、初めて女の子のお友達のおうちに行って遊んで帰ってきました。遊びに行くとは言わずに行ったものだから、「居なくなっちゃったッ!」と大慌てしていた頃、ちょうど帰ってきましたから、二重の喜びです(うれし涙)。
想像するだけでハラハラドキドキのアンちゃんの学校生活の毎日。さぞ夏休みは、いい息抜きになったことでしょ~。そんなある夏の日のことでした、お友達のレタスさんが、ご本を持ってきてくれました。「樹と小鳥の物語」(新風舎)です。これは実は、レタスさんが、ご自分の昔のことを小さな樹にたとえて書かれた本でした。
大きな森の中で、ちいさな樹は歌声のステキな小鳥に話しかけられます。でも「小鳥に出会う前、小さな樹はおびえていました。風の音に、小さな自分に、これから大人になっていかなければならない自分に・・・・。そしてまた、あこがれていました。風の音に、森の空気に、大きな樹々たちに、そして、未知の世界に、大空に・・・・。おくびょうで、小さな自分の中に、こんなにたくさんの気持ちがこんがらがって、樹は、自分で自分がわからなくなっていたのです。でも、小鳥を見ているとなんだか、自分の夢を思い出すのです。(わたしも、あんなふうに、自由に飛べたらいいな。あんなふうに、すてきにおしゃべりできたらいいな)」
そうして小鳥は小さな樹が大好きで毎日あそびに来ます。でも樹は無口なままです。小鳥はきらわれたとおもって、飛んで行きます。でも、「樹は本当は、うれしかったのです。いっしょに歌をうたおうとしたのです。でも、わけはわからず体がかたくなって、声が出なかったのです。(自分は、なんてダメなんだろう・・・・)樹は、小鳥が飛んでいった大空を見上げ、あこがれ、そしてだまって下を向くのでした。」
という、一年生には ちょっとムツカシイようなお話しを読んであげると、意外にも私にピタッと寄り添って、静かに息を止めたように聴いていたアンちゃんでした。読みながら、そうか、アンちゃんは小さな体で、こんなにたくさんの気持ちをもっていて、自分でもわからなかったんだな、そしてわけはわからず体がかたくなって、そして声も出せなかったんだな、と、恥ずかしながら今更ながらに気づく私でした。あまりに家では、「あたし、しょうかいは、にがてでしょう。あー、しょうかい」「じゃー、かわりにわたしが やりましょう。おー、しょうかい」などと声音まで変え冗談を言って、自分をネタに笑わせてくれるので、(その調子でいつも喋ればいいのに・・・)などと歯がゆくもあったのですが、5年ぶりに突然、訪ねてきてくれたお友達が、まるで、天使からのプレゼントのように、アンちゃんの心を応援するように本にして 運んできてくれたみたいです。もちろん、レタスさんはアンちゃんのことを知っていて持ってきてくれたわけでもなく、ご自分の昔のことを自分のお友達に「ありがとう」の気持ちをこめて何年も前に書かれただけなのですが、そして本として初産声をあげたのでプレゼントしてくださっただけのですが、どうしてもグッドタイミングで、私にとってもアンちゃんにとっても 大切な出会いの本でした。人の気持ちが時間を超えて幾重にも折り重なって、それとは知らずに支えあっているような不思議な出会いですッ。
本の最後、ちいさな樹と小鳥のこころの詩(うた)・・・「大空」という詩を読み終えると、アンちゃんが、しずかにそっと「すてきな うたね」とつぶやきました。おーしーまいッ
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