巨樹めぐり⑤ 楠
もう4年前になってしまった巨樹めぐりの続き。
今回はクスノキ。
久しぶりに近くの鳩ヶ谷神社です。
夏越の祓(梅雨時の疫病などを祓う行事)の折の
茅の輪くぐりの 大きなススキの輪を見たくなりました。
しかし、もう終わって何日も経っていたので
なんにもなく、
しかたなく境内をめぐっていたら
びっくり!
こんな立派なクスノキがありました。
御神木の 夫婦楠でした。
クスノキは、
九州ではメジャーな存在で、
この辺り(埼玉)のケヤキに匹敵します。
古くは史前帰化植物らしく南国から来た陽樹、
熊本や鹿児島などでは県木ですから、
子供の頃から 「木といえば楠」
まわりの中低木を包み込むような こんもりとした樹形、
堅そうなのに抱きつくたくなる 赤茶色のザラザラゴツゴツの樹皮、
何があっても嘘はつかないような 大木の威風堂々の枝ぶり、
人間でたとえるなら西郷隆盛とか、、
にしても、クスの大木の樹皮って
こんなにきめ細かく切り立った
タワシで磨き上げられたような山脈系樹皮だったっけ?
とつぜん出会ってしまったので、
思わず息をのみ、拝んで、
そっと触れさせてもらいました。
居住まいを正したくなるようなスッとした双樹でした。
近くの小学校や神社にも
樹齢100年を超えるような楠の大木がありますから、
またもう一度見てみようと思います。
我が家にも垣根の中にクスノキがありました。
鳥がその秋の黒紫色の実をたべて
糞として落としていったものが
芽を出したのでしょう。
鳥による種子散布の木ですね。
葉を軒下に干して数日後、
雨の多い梅雨の最中でしたが、
なんとか乾き、カットして、
煎じました。
沸騰して弱火で15分ほど。
香りは初めはニッケイを弱くした感じと思っていましたが、
いえ、これはまさに樟脳。
じっさい枝葉を蒸留したものは樟脳ですから、
防虫や医薬効果があります。
薬草の本には
これをお風呂に入れてリウマチに効くとありました。
煎じた液を飲めばクスノキ茶です。
これは、どこかで味わった、そうたしか龍角散の味と余韻。
けれども龍角散の成分にクスノキはありませんでした、
白い粉のあれ、だったと思うのですが、、、
干して刻んだものを袋に入れて沸かし湯にしたものは
香りが弱かったのですが、
前もって鍋で煎じた液と 濾した葉を袋に入れた浴湯は、
確かに温まります。
湯全体の分子が茶色にあったまってるのに
ぬるっとした感じがなく
クスノキ科ニッケイ属らしい
爽やかな温かさです。
<おまけ>
公園のクスノキ 満開の花、5月ころ
一般的な公園の樹皮
白い小さな6枚花弁の花
名前をつけるなら
白い小さな妖精たちのおしゃべり
三行脈の葉と黒紫の実。
まんなかの主脈の元の近くから側脈が出て
三本の行く脈。
葉は、つるっとしているのに皮質で
樹から受けるものとは違います。
内に秘めた冷静な薬効が涼し気に溢れだす印象です。
この三行脈の根元に一対の大小の穴があり、
各々別の種類ぼダニが居住していて、
彼らはクスノキに居候して楠の恩恵を受け、
楠を守ってもいる、らしい。
葉の裏に入り口があって、
虫メガネでそのダニまで見えました。
※巨樹巡り・・・ごくごく近所の巨樹をめぐる。
ロシアの即身仏のお墓~ドルメンに行きたかったのだが、
行けなかったので、それに匹敵するものとして、はじめる。
巨樹=賢者、土地の生命そのもの
※参考・・・「薬草」山と渓谷社
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